引っ越しにおける最大のハードル
引っ越しにおける最大のハードルとは家族の了解でした。
なにせ10年間のパラサイト生活。
内心ずっとひとり暮らしをしたいと思ってはいましたが、話をしたことはない。そもそも親と私の間にはロクな会話がない。挨拶と薄っぺらいやり取りだけで、家にいるほとんどの時間を私は自室でぼんやりすることで過ごしていました。
話を切り出したのは賃貸業者へ相談に行った後になります。
目当ての物件を仮押さえしてもらったのでもう後には引けないという状況。
テレビから聞こえる笑い声だけが空転する晩御飯のタイミングで切り出しました。
私)「ひとり暮らし始めるから。部屋はここにしたいと思ってる」
父)「そんなことよりお前結婚はどうするんだ」
あ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
それ今言っちゃいますか~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
まぁ今しか言うタイミングないんでしょうけども~~~~~~~~~~~~~~~
父よ……あなたは30代喪女の娘が今後誰かと恋愛をして結婚し得ると思っているのですか……。
とはね、言えませんよ。
私)「あーーまぁ絶対しないってわけじゃなくて良い人がいればね、タイミングだからハハハh」
父)「俺たちはお前が心配なんだ、ひとりっこなんだからこのままじゃ将来ひとりきりになるんだぞ」
でた正論……
正論のこの、目の前にズドンと石の壁が落ちてきたような感覚はなんでしょう。あたかもマリカーにおけるドッスンの如き跳ね返し力。
会話はキャッチボールでしょうよ~~~とはね、今までロクに会話をしようとしてこなかった身としては言えませんよ。
私)「ははは……まぁそれはおいおい……結婚するにしても今のままなら家事とかなにもできないでしょ?だからね?」
母)「まぁまぁいいじゃないの、あんたも自分で生活してお父さんがどれだけ大変だったかを知りなさい」
私)「はは……そうね……じゃあ洗濯物干すね」
(実家にて唯一覚えた家事は洗濯物干しでした)
不機嫌になると不機嫌オーラを隠しもせず、ただひたすら黙ってしまう父はそのままむっつりとテレビに視線を移しました。
その後実際に引っ越しをするまでの約一か月半、私は父からガン無視をくらったのでした。
ちなみに今でもたまに帰ると不機嫌。私もあまり会話をしたくないので不機嫌。